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公益財団法人三島海雲記念財団
2019年度 贈呈式

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2019年度 贈呈式

2019年7月5日、東京都千代田区の東京會舘で2019年度の「三島海雲学術賞」「学術研究奨励金」の贈呈式を開催しました。

今年度の第8回「三島海雲学術賞」は3名の方に、第57回「学術研究奨励金」は個人研究と共同研究合わせて63件に授与されました。これにより財団設立以来、学術研究奨励金の贈呈累計件数は1,924件となります。
当日は、受贈者の皆様をはじめ、全国から120名の方々にご出席をいただきました。

贈呈式

贈呈式は今関理事長の挨拶ではじまり、続いて上野川委員長(自然科学)、
羽田委員長(人文科学)より選考経過が述べられました。

理事長挨拶

三島海雲記念財団 理事長
今関 博

昨今の国内外の諸情勢を考えますと、新しい時代に希望を求めながらも、打開すべき課題の多いことを認めざるを得ない状況であろうと思います。このような状況下の今こそ、「学者の立派な研究、それも自然科学だけでなく、良識となる人文科学の研究を援助する」という当財団の果たすべき役割は、規模においては不十分ですが、その活動趣旨は時代の求めにふさわしいものと考えております。
本日の学術賞、奨励金の贈呈が、今後の先生方の立派なお仕事につながれば、このうえない喜びでございます。

選考経過報告

自然科学分野 学術委員長
上野川 修一 東京大学名誉教授

「三島海雲学術賞」は、慎重かつ厳正な選考の結果、きわめて独創的で優れた研究であり、「食の科学」の発展に貢献すること大であると認められたお二人に授与を決定しました。
また、「学術研究奨励金」はこれまでの最高水準に近い応募件数を得ました。本助成に多くの方々の注目が集まっており、大変やりがいがあるととともに、うれしい悲鳴をあげながらの選考となりました。
今年は、若手研究者と女性研究者を合せた採択率が約40%になり、若手研究者、女性研究者の活躍に期待を込めた結果となったことも合わせて報告いたします。この事は、三島海雲翁の「荒野に播かれた一粒の麦になりたい」との財団設立の思いに沿ったものであると認識しています。
本日、受賞・受贈された皆様方の研究が今後ますます発展されることを期待しています。

人文科学分野 学術委員長
羽田 正 東京大学副学長

三島海雲翁は財団設立の趣旨の中で、「自然科学の重要性は勿論大いに認めるところでありますが、自然科学といえどもその根底には矢張り人は如何に生きるべきかの哲学が充分に認識されて居らねばならない」とおっしゃっています。
この言葉は50年以上前のものですが、今日、第四次産業革命と言われるような、ソサイアティ5.0、情報技術あるいは人工知能に関連する科学技術の急速な進展を目の当りにすると、ますます重要であると感じられます。三島翁は、科学技術の進展の根底に人文学による知力が必要であるということをすでに認識されておられたのでしょう。
今回、選ばれた皆様が海雲翁の高邁な思いに応えられるよう、これからますます素晴らしい研究成果を挙げられることを期待しています。

続いて理事長より受贈者に賞状および贈呈書が授与され、受贈者を代表して保坂 浩貴 氏が答礼の辞を述べられました。

学術研究奨励金贈呈

受贈者代表 人文科学部門
天野 優 氏/同志社大学 大学院 神学研究科

受贈者代表挨拶

受贈者代表 自然科学部門
保坂 浩貴 氏/日本大学 大学院生物資源科学研究科

現在私は、新たな機能性オリゴ糖の開発を⽬的とした研究を⾏なっています。
新たな機能性オリゴ糖を開発しその有効性を評価することで、ヒトの健康な⽣活に貢献できると考えています。今回ご援助いただけたことで、多くの研究や⽅法に挑戦できるようになりました。
この機会を⽣かし、⼈類の福祉に寄与するという三島海雲翁の意志に応える成果を上げられるよう⽇々、研究に精進していきたいと考えています。

「三島海雲学術賞」受賞記念講演

贈呈式に続き、「三島海雲学術賞」受賞者による記念講演が
行われました。

三島海雲学術賞(自然科学部門)

「食の安全を脅かす人獣共通感染症の疾病予防に関する研究」

加藤 健太郎 氏/帯広畜産大学 原虫病研究センター 准教授
(現)東北大学 大学院農学研究科 教授

【研究要旨】
人獣共通感染症の原因原虫の感染レセプターの同定を行い、糖鎖レセプターを基にした抗原虫薬を開発した。また、原虫酵素が感染環において重要な役割を果たすことを見出した。特に潜伏感染機構の解明を行い、急性感染期と潜伏感染期をともに抑制する薬剤スクリーニング系を開発し、薬剤の同定に成功した。さらに、原虫感染阻止に働く金属ナノ粒子の抗原虫機構の解明を行った。

三島海雲学術賞(自然科学部門)

「味覚神経伝達の分子基盤に関する研究」

樽野 陽幸 氏/京都府立医科大学 大学院医学研究科 細胞生理学 教授

【研究要旨】
甘味・うま味・苦味の情報を舌にある化学センサー器官「味蕾」から脳へと伝える分子機構およびその機能修飾機構を明らかにするとともに、“イオンチャネルシナプス”という味覚系にのみ見られる特殊な新しい神経伝達様式を確立した。加えて、これまで不可能であった生体内での味蕾細胞の遺伝子操作技術を確立し、食体験の科学的な理解を深め、さらにその操作を可能にする研究業績をあげた。

三島海雲学術賞(人文科学部門)

「イスラームのロシア:帝国・宗教・公共圏 1905-1917」

長縄 宣博 氏/北海道大学 スラブ・ユーラシア研究センター 教授

【研究要旨】
ロシア帝政末期のヴォルガ・ウラル地域におけるムスリム社会の変容、特にロシアの近代化の過程において形成された「ムスリム公共圏」について詳細な検討を行い、この地域におけるムスリム共同体の形成と発展に関して、従来の帝国対ムスリム社会というステレオタイプ的な見方とは異なる新たな視点を提起した。

式典終了後の交流会では、お招きした来賓、受贈者の方々、選考にあたった学術委員、財団役員らが交流を深め、盛況のうちに閉幕いたしました。